驚きのダンススクール
「実は幼なじみがプロになったんです、まだトーナメントには出られませんが、そいつに教えてもらえるんです」プロと回ったことのないCさんは緊張したが、こんな機会はまずない。
そう思って誘いに乗った。
そのプロは好青年だった。
腰が低く言葉遣いもていねい。
やさしくレッスンしてくれたが、幼なじみのBさんには手厳しい。
教え方も半ば命令口調である。
「もっと1打ずつを大事に打て!」プロは何度もそういった。
Cさんもそれにはうなずいていた。
そうして迎えた昼休みに、プロはBさんにいきなりこう命令したのだ。
「後半の第2打以降は、100ヤードを切るまでは全部9番アイアンで打て。
それ以外のクラブは使用禁止にするから」それまで素直に教わっていたBさんも、これには反論した。
「何ヤード残っても?それじゃあパーオンしないし、パーもとれないよ」するとプロはこう答えた。
「前半でBがパーオンしたのは短いパー3の1つだけ、パー4、パー5のパーオン率はゼロだったじゃないか、ここまで一番うまく打てていた9番だけのほうがいいんだ」身も蓋もない言い方だったが、Bさんはその命令を守った。
すると、しだいにショットがよくなり、短いパー4は9番でのパーオンも達成した。
スコアは前半より4打も減った。
パーオンも3つ。
2つのCさんを上回ったのだ。
Bさんはプロにこういった。
「結果はよかったけどおもしろくはなかったよ、パーオンが狙えないんじゃ夢がない」Cさんには、その気持ちがよくわかった。
だが、プロはこう答えた。
「先を急ぐなよ、ずっと9番だけといっているわけじゃない、今はそれが必要なんだ」プロはその理由をこういった。
パーをとりたい。
そのためにパーオンを狙いたいとだれもが望む。
だが、問題はその成功率にある。
例えばツアープロのパーオン率は6割前後。
その中にはツーオン可能なパー5ホールもある。
それを除くと55パーセント程度まで下がる。
Cさんはこの数字を聞いて驚いた。
自分が目指していた「半分」が、ツアープロと同レベルだったからだ。
プロはBさんに説明を続けた。
「ハンディ10台の人のショットカがプロの半分なら、パーオン率は3割と考えていい、だが、現実にはそれさえなかなか達成できない、その原因が全ホールでパーオンを狙うことなんだ」そうだろうか、とCさんは思った。
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